アグニ乾燥エキス
「貞節のシンボル」から
「女性の健康の象徴」へ
アグニ(Vitex agnus-castus L.)とは、西洋ニンジンボクの和名、Chaste treeの英名を持つクラツヅラ科ハマゴウ属の低木です。地中海地方およびアジア地域の川堤および海岸に広く自生していました。2000年以上前の、ギリシャ神話の「貞節のシンボル」女神ヘラの生誕伝説から始まり、ディオスコリデス薬用植物誌では「性的エネルギーを抑える飲料」として掲載されています。2000年以降は薬理試験に基づく種苗開発が行われ、数々の臨床試験データが認められ、海外では医薬品として承認されています。日本でも2014年に、ハーブ医薬品第2号として医薬品承認を受けました。
原料素材の由来・起源について
2000年以上の利用実績
ギリシャの女神ヘラがこの樹の下で生まれたとの伝説とともに貞操のシンボル樹として知られる。
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食経験——————–
ギリシャの医師ディオスコリデスが薬用植物として紹介。
民間療法において月経前症候群(PMS)の症状緩和に使用。
食品〜民間薬としての歴史: 2000年以上と考えられる。
薬理試験情報
薬理作用:アグニの水/エタノール抽出物についての報告
1. ドーパミン作動性とプロラクチン過剰分泌抑制:
- a) ラットの下垂体細胞において、線条体ドーパミン D2 受容体に結合し、プロラクチンの分泌抑制 (ESCOP 35、36、37)
- b) 子牛の線条体において、スピロペリドール(ドーパミン受容体拮抗薬)の作用を阻害し、
ドーパミン D2 受容体を活性化 (ESCOP 43)- * アグニ乾燥エキスの D2 受容体親和性:IC50=40〜70μg/mL
- * アグニ果実中のジテルペン類の D2 受容体親和性(比較)
6 β,7 β-diacetoxy-13-hydroxy-labda-8,14-diene: IC50=79 μg/mL
Rotundifurane: IC50=45 µg/mL
2. μ、κ、δオピオイド受容体への親和性:IC50=36(μ)、22(κ)、194(δ) μg/mL
1年後に実施した再試験でもIC50値に変化は認められなかった。
ヒト臨床試験情報
臨床試験:アグニの水/エタノール抽出物についての報告
- 1 プラセボ対照無作為二重盲検法:Schellenberg R. BMJ2001
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対象:月経前症候群の女性 170人 試験期間:月経3周期 投与量:20 mg の乾燥エキス/日
- a) 自己評価:焦燥感・情緒不安・怒り・頭痛・胸が張る・下腹部の膨張感を含む諸症状が偽薬群に対して – 有意に改善 P <0.001
- b) 医師の評価(Clinical Global Impression Scale 3回評価):有意に改善 P <0.001
* アグニ乾燥エキス投与群(86 人)⇒ 52 % * プラセボ投与群(84 人)⇒ 24 %
- 2 マルチセンター臨床試験: Berger D., Arch Gynecol Obstet. 2000
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対象: 月経前症候群の女性 50 人(治験終了 43 人、脱落7人)
投与量:20 mg の乾燥エキス/日
期間:月経8周期(初期値 2周期・治療期の3周期・治療後の観察期の3周期)- a) 治療終了時の MMDQ(Moos 月経困難質問表)が初期値に比べ42.5 %低下(P <0.001)
- b)観察終了時にかけて MMDQ は徐々に上昇するが、8周期目の初期値との差 20 %(P <0.001)
- c)自己評価 VAS の初期値に対する低下:黄体後期 47.2 %(P <0.01)、8周期終了時 21.7 %(P <0.001)
- d) 自己評価 GI: 38 人が中程度~顕著な改善の評価、5人が効果なし
- e) 月経前症候群を患う期間は 7.5 日から6日に短縮された
安全性情報
- ☆ 急性毒性試験: LD50> 2000 mg/ kg
- ☆ 使用制限: 報告は無いが、妊娠中は控える(ESCOP2003)
- ☆ 30年以上の医薬品としての実績(1985 年にコミッションEが承認)
- ☆ 禁忌: 知られていない(ESCOP2003)
- ☆ 服用期間:3ヶ月以上の継続が推奨される(ESCOP2003)
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安定性情報——————–
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